「言われて嬉しいけど、冗談で言われるのは嫌なの」
ただでさえ小さい頃から好きなテツに"俺の嫁"と言われるのは嬉しいに決まってる。
でもテツはいつも冗談で言うから、それがあたしには悲しくて苦しい。
冗談で言うのはきっとあたしにはその気がないから。
テツにはあたしじゃない、好きな人がいる。
見てすぐに分かった。
あんなに楽しそうに話すテツ、今までで見たことなかったから。
考え事をしている間もずっと視線を感じて、あたしは未来を鋭い視線で見つめ返した。
「…何よ」
「いや、別に?
ただ澪もまだまだ鈍いなって思ってさ」
「鈍い?何が?」
未来の言いたいことが分からずに聞き返すと、その答えを聞く前にタイミングよく隣の席の彼がやって来てしまった。



