「あんた馬鹿?!いくら同学年だからって、あんなイケメンが真鳥みたいなチンチクリン相手にするわけないでしょ?!」

玩子は信じられないという顔で、私をガクガク揺さぶった。

……チンチクリンは酷い。ていうか表現が微妙に古い。

「あのねぇ!あんたは知らないかもしれないけど、この学校には『透音ファンクラブ』っていう三年生から一年生、女性の先生も含んだ会員三百人くらいのクラブがあって!!成海自身モデルにスカウトされた事が何回もあって!!一日に最低五回は告白受けてて!!とにかく『少女漫画系男子』の異名を持つ凄い美男子なの!!どーせ相手にされないから今の内に身を引いときなさい!!ファンの人に殺されるわよ!!」

玩子、凄い。

このセリフ一回も息継ぎしないで言ってる。

というか……

「玩子、なんでそんなに詳しいの?」

「……まぁ、昔色々あって……」

玩子が珍しく口篭る。

……あぁ、そういう事ね。

私は察したけど、可哀想だから黙っておいてあげた。

へー、成海くんってただの美男子だと思ってたけど、玩子が惚れるほどの凄い人だったんだ……知らなかった。

「うん、でも私成海くんが好きな訳じゃないから、違う要件で話があるから大丈夫だよ」

「え?違う要件?って、何?」

「えっとね……あ!」