昔から私はこんな感じだ。

能天気、無駄にポジティブ、猪突猛進の馬鹿。

玩子にもよく叱られるし、麻奈葉にも指摘される。

一応自覚はそれなりにしてるけど、嘘で自分を固めたり、誤魔化して相手を騙すのが正しいとは思えないんだ。

「素直になることは、ダメな事じゃないと思うんだけど。世間の目って酷いよね、一人だけ目立つ行動してるとオバケみたいに見られるし」

「……俺とは逆なんだな」

「何が?」

「これだよ。今この状態の俺。演じてるっていうか、こっちが素なんだよ」

成海くんは長い指で自分の顔を指す。

「自分で言うのもなんだけど、見た目がちょっと整ってるからって皆特別扱いして……それ相応の振る舞いしてないと幻滅されるかもしれないって、怖がってるから」

「でも、そうならないように努力して、頑張って、今の成海くんなんでしょ?私は尊敬するよ、すごいと思う」



本当は、最初から分かってた。

勝手に師匠呼びしてたのに怒らなかったし、わざわざ人気のないカフェを集合場所にしたし。

怒ってても、特に疑問も抱かずに私にイケメンの心得を教えてくれると言ってくれた。

誰だって疲れるのに、成海くんはそれを許されないんだ。