やばい、あたし今だらしない顔してるぞ絶対。


だって普通に嬉しい。歓迎会といいこれといい。皆凄くあたしを驚かせるから困る、本当。



だらしない顔を片腕で隠し続けていると、開かずの間がやっとガチャリと音をたて開いたのが見えた。中からは優の言った通り、いつも通りの隼人くんが両手をぐーっと天井に伸ばしながらも現れて。




「愛愛!おはよー」



寝ぼけ眼の隼人くんがいつもの調子であたし達の元へとやってくる。さっきの悪魔のような姿が嘘のようにいつもの可愛くて明るい隼人くんだ。



「俺、今日はいつもより早起きなんだよ!今日は優ちんが愛愛のお手伝いしよーって皆に言ってたからさ」



―――――そしてまさかの暴露。



「そう…なんだ。知らなかった。」


「あ、やべ。優ちんには言うなって言われたんだった」



慌てたように両手で口を抑えた隼人くんを優がジロリ、嗜めるような瞳で見下ろす。だけどあたしはその暴露さえ嬉しくて口元の緩みが抑えられない。そうかそうか、そうだったのか、それはそれは何だか本当、困りますなあ。




こんな幸せな事ってあるだろうか。一緒に居るたびに皆の知らない一面が見えてきて、楽しい事が増えて行く。こんな日がいつまでも続けばいい。




だけどあたしはまだ何も知らなかったんだ。



知っていたのは表の彼らの事ばかりで、裏の顔なんて何一つ、まだこの時は知ってはいなかった。