丁度、脱衣所を視線で捕らえた所でふと思い出した。しまったしまったと部屋の扉に手をかけたあたしの後を優が当たり前のように着いてくる。



「俺も休みの日くらい手伝いますよ?」



柔らかい笑みを浮かべながらもコテンと小首を傾げ言った優にあたしの心臓がドキリと跳ねた。心臓に悪い笑顔だ、本当に。



「優ってほんと罪な男だよね」



その笑顔で何人の女を落としてきたんだろうか。それも空みたいに自覚してやってるんじゃないって所がまた罪だ。




「何の事?」



本気で分からないのか不思議そうな表情をした優に「いいえ何でもありません」片手をかざした。



洗濯カゴの中に溜まった5人分の服を抱える。あ、しまった。もう一つあった。



「お皿もまだ洗ってないんだった。」



抱えたまま思い出して声を上げると優はあたしの両手からカゴをゆっくりと奪い取り、洗濯機の蓋を開け「ああ、平気やろ」何て事無さそうに答える。



視線だけで廊下の外を指された。どうやら見て来いと言う事らしい。洗濯機の中にバサバサと洗濯物を入れだした優を横目に、あたしは急ぎ足で台所へと舞い戻った。




ガラス張りの台所を廊下越しに覗き込む。



見れば双子が何か楽しげに話ながらもワシャワシャとお皿を洗っている背中が見えた。



そういう事か、何だこの気持ち。何とも言えぬ気持ちに片腕で口元を覆うと洗濯機を回し終えたのか、脱衣所から顔を覗かせた優がーーーー。



「あいつらも何だかんだ愛理ちゃんに色々感謝してんねん。」



そう言って扉にそっと寄りかかった。