「愛理ちゃんおはよー?」
「ぎゃあああああ!!!」
「うわあっ!」
熱い顔に片手を当てたまま、ついっと顔を上げた矢先目の前にはあたしを覗き込むようにして体をかがめる優が居て驚いた。大声で叫んだあたしの声につられ、優も大声を上げて驚いてる。
優さん心臓に悪いよ!
「……び、びっくりした」
「俺もびっくりしたんやけどっ」
「ごめん、まさか優さんが居るとは思わなくて。心臓の方は大丈夫でしょうか」
「はい、まだドキドキしてますけど平気です。それよりどうしたん?慌てて部屋の中入ってきたやろ?」
「いいいっ!」
「いいい?」
「いやいやいやいや何もないよ!何も無いんだよ優さん!」
「いや、嘘下手やなー愛理ちゃん。」
「何もない何もない!!あれー隼人くんはまだ寝てるのかなぁ?」
優が怪しい、探るような瞳を向けてきた。それから慌てて視線を逸らして壁に無意味に視線を縫いとめたまま、まだ居ない隼人くんの名前を出してみる。
暫くジーっとあたしを探っていた優だけど、やっとその視線をあたしから解くと。
「隼人はまだ起きないんちゃうかな?」
黒いソファーへとすとん、腰を下ろし肘掛に背中を預けるような体勢に変える。長い両足は反対側の肘掛を超えて垂れ下がった。空中でブラブラと両足が揺れてる。
