闇と光1




瞬時にあたしはバッと顔を背けたけど鈍い音が耳を掠めていくそれに背中が震えて声も出ない。



どうしてこうなったんだろう、目の前で起きている状況はいったい何。震える手をゆっくりと両耳に押し当てる。それでも鈍い音は指と指の隙間をすり抜けてあたしの鼓膜を叩いていく。



「いっ、痛え!助けてくれよっ」


「お前何言ってんだ?敵に助けなんて求めてんじゃねえよ!!」



や、やめようよ。あんたらの事情は知らないけど、その人は人間なんだよ?



殴る金髪はまるで笑っているような声だった。どうして殴りながら笑えるんだ。金髪は物凄く楽しそうに拳を振るっているみたい。何度も何度も何度も。



まるで楽しいオモチャでも見つけたかのようにケラケラと楽しげに口元を緩めていて、それにゾっと嫌なものを感じた。



春風に揺られあたしの長いパーマがかった茶金の髪が揺れる、その隙間から気絶しているにもかかわらず笑いながら殴り続ける金髪を冷めた目で見つめる銀髪が見えた。



「おい、もう気絶してる。やめとけ」




明らかに止めるのが遅すぎる。それを分かっている風な言い方で気怠げに片手をユラリと金髪へと伸ばした銀髪はやっと待ったをかけた。



つまらなそうに男の上から退いた金髪がその手を止めてヒラヒラと掌を振るってる。



「面白くねえな。やっぱ下じゃ相手にならねえよ」



んーーっ!伸びをして欠伸を吐き出す金髪。今起こった事はスポーツの何かとでも思っているような仕草だ。



信じられない。頭おかしいでしょ。今の今まで人間を笑いながら殴っていたとは思えなかった。