「やけどなあ、愛理ちゃんはもっと自分の事を理解した行動を取って欲しい。俺やって普通の男やし、無自覚な行動取られると色々とね、苦労すんねん。」
「俺ならまず無理だねー。そんな無自覚な行動取るなら襲っちゃうかもしれねえなあ」
煙草を口に咥えた空さんが無理無理と頭を横に振りながらも紫煙を吐いて言った。そうでしょうね、空さんならきっとすぐベッドに押し倒すに違いないっすよ。
「あほやろ、そんなん出きるわけないやろ。愛理ちゃんが出てったらどうするん」
「それはそれじゃねえの?そういう危険があるって事を考えず飛び込んできた自分を呪うしかねえだろ」
「飛び込んだって言うかつーちんとそーちんが連れて来たんだろ!」
「ちげえよ、拾ってやったの間違いだわ」
「…ははっ、」
「何笑ってんだよ」
「いや、運命なんかなって」
「運命ねえ…」
言って、優さんは愛理さんの膝裏と背中へと両手を滑り込ませ、軽々とその体を持ち上げ立ち上がった。愛理さんの長い髪がふわふわと踊るように舞う。
その髪を翼さんが下からすくい上げるようにして手の平に乗せ、片手を傾け滑り落とす。サラサラサラ、滑っていった愛理さんの髪が風に弄ばれた。
俺も優さんが言うように運命のような気がした。出会ったのから何から何まで、そう全てが運命なんじゃないかと馬鹿みたいな事を思った。
だから愛理さん、塞がらない傷口をどうか塞いで欲しい。
もしいつかそれを知る事になったらーーーーー。
そう願う俺の気持ちを察する事も無く、愛理さんは気持ちよさそうに眠り続けていた。