しかし待て、と言う事は今まであたしはお酒を飲んでいたのか…?


それを聞いてしまったが最後、目眩がどんどんと酷くなる。



「うっ…」


「ど、どーしたんスか!?もしかして吐きそう?」



あたしはバっと慌てて口元を押さえてコクコクと頷いた。トシが慌てて背中をさすってくれる。でもやめて!吐きそうな時にさすらないで!余計気持ち悪くなるから。出そう出そうですトシさん。



「愛理ちゃんどないしたん?」



あたしとトシの真上にヌっと黒い影が落ちてきた。顔は上げられないもののイントネーションと優しい声色ですぐに誰か分かった。



「あ!優さん、愛理さん飲みすぎたみたいで気持ち悪いらしいッス」


「え!?愛理ちゃん大丈夫なん?」



優が慌ててあたしのところに駆けつけてくれる。あたしの背中に片手だけかけると、ブルーシートの上に忘れられたように転がっていたミネラルウォーターと書いてある小さなペットボトルを引き寄せて。



「水あるで?飲む?」



冷え冷えのペットボトルをあたしの頬にピトリと押し当てた。あぁー駄目だ気持ちい。飲みすぎたせいなのか体も火照るし思考も…。



「「何やってんだー?」」



少し楽になってきたかと思えばこの声は奴らか。デビル双子か!何て間の悪い。今こっちに来ないでください、さらに吐きそうになります。言葉にしようとは思ったが口を開いたら色々と危なそうだったので言葉を飲んだ。



「気持ち悪いらしいねん。トシが飲ませ過ぎたんやな」


「俺のせいスか!?愛理さんピッチ早いからお酒強いのかと…」


「なんて言って酔ったこいつをお持ち帰りとか悪趣味な事考えてたんじゃねえだろうな?」


「いやートシくんたら、やーらしー」



可哀想にトシ。その双子に捕まったら暫くオモチャにされるのが落ちだよ。案の定トシの「ちち違いますよ!」の声に重ねるように双子が「えー本当?」「本当の事言ってみなさいー」トシをいじってる。今は助けてやれぬ、すまん。