他の奴等が守んなくたって俺が一番最初に守るから平気だし!」



隼人くんが後ろからあたしの背中に飛びついてくる。あまりにも軽くて傷ついた。男の子なのにっ!あたしはこれでも一応女子なはずなのに!



あたしの首に両手を回し「な?」満面の眩しい笑顔を向けてくる。



あたしはつられるように笑顔を浮かべるけれど「うん!」とは何となく言いにくかった。だって自分の事だし。そんなに人任せに「守ってねお願いね!」なんてキャラじゃないのだ。



「いやー笑った笑った。つうかお前な、バカとは言ってくれるじゃねえかよ!お前よりバカじゃねえわ!天才だわ!」


「いやいやそれは無い。バカって言葉は翼のために作られたようなものだとあたしは思うよ」


「あっはは、その喧嘩買ったわ」


「させねえよ!愛愛に手出したら俺が怒るからな!」


「はあ?お前は関係ねえだろ、やけにこいつの事庇うじゃねえか」



翼と隼人くんの喧嘩が始まりそうになった所で兄貴が狙ったようなタイミングで現れた。銀髪の髪を風に弄ばれながらもふわりふわりと揺らしつつ、二人の間に手刀を振り落とす。



「まあまあ落ち着きなさいお前ら。いやあー良かったねえお姉さん、お姉さんの事を守ってくれる奴がいっぱい居て。」


「心こもってないように思えるのは気のせいでしょうか」


「全然そんな事ねえよー?」



いや絶対そうでしょう。全く良かっただなんて思って無さそう。本当考えてることがいまいち分からない男だ。



ゲラゲラと未だ、笑い声が響いていたその場を。



「よし」



優が軽く手を打ち鳴らす事で静めた。ピタリと笑い声が止まったのはあっという間だった。さすがリーダー様である。



「ええ、演説も聞けたし食べるか」



優はあたしの頭をクシャりクシャりと撫で回し、何事も無かったようにブルーシートへと歩いていった。何となく気恥ずかしくて乱れた髪を両手で押さえる。