いじけるような表情で横頬をソファーの上にくっつけた優はあたしをジっと見つめ、溜息を吐くと渋々腰を上げて床に置いてあったスクールバックを取った。肩にかけて恨めしそうに時計を見上げる。



「ん、仕方無いから行ってくるわー」


「偉いよ!立派だよ!素敵だよ優さん!」


「愛理ちゃん、もっと気持ち込めて言って」


「それは失敬!」



申し訳なかったと洗濯を一旦置いて立ち上がり、ソファー越しに手を伸ばす。優の柔らかいオレンジ色の髪を両手でぐちゃぐちゃと撫で回してあげた。「よーしよーしいいこさんだいいこさんだ」とムツゴロウさんのように。



文句を言われるかと思ったら意外にも優はジっとしていてあたしにされるがまま、時折。



「愛理ちゃん、くすぐったい」



くしゃりと苦笑して瞳を閉じる。おいおい何だその可愛さ。犯罪か。



自分から手を伸ばしたくせに段々気恥ずかしくなり、最後の方は気合を入れるように優の両肩をバンバンと叩いて終わった。



玄関まで一緒に向かい片手を上げる。




「気をつけて」


「うん、行って来ます」


「いってらっしゃい」



靴を履いて広いマンションの廊下へと出て行った優がエレベーターに乗ったのを確認してからドアを閉めた。鍵をかけてから静かに考える、まるで新婚夫婦の会話みたいじゃないかと。



結局この場に居座って、当たり前のように生活しているけどそれでいいんだろうか。



双子に関してはあたしを女扱いもしてくれない。もはや化け物か汚いもの扱いに近い。隼人くんは懐いてくれてるみたいだけど、優は何というのか妹扱いに近い気もする。



みんな忘れてるんじゃないか?あたしのが年上だぞ。