昨夜、空に着いてきてもらったことを深く深く後悔した。



もちろん最初は良かったんだ。服の事になると優柔不断になるあたしを見かねて「こっちがいいんじゃね?」と決めてくれる決断力も、「これもいいんじゃねえの?」と選んでくれる優しさも。



持ち合わせじゃ足りなくてお金を貸していただいた事も含め、本当に本当にジェントルマンだと思えたーーーーのだけれど。




可愛い女の子を見つけて声をかけたかと思いきや「今夜暇なら俺と」なんて卑猥用語満載の口説きを始めるじゃないですか。



かと思えばどうやら空とそういう行為をしたとかなんだとかいう女の子から「何よこの女ー!」なんて怒鳴り散らされて冷や汗が止まりませんでしたよ。



もうあの男とは二度と買い物に行きたくないと思いました。



「はぁー…」


「何ため息ついてん?」


「うわッ!びっくりした…」


「そんなびっくりせんでもええのに、」


「だって優さん、いきなり後ろ立ってたらびっくりするじゃないか。」



取り込んだ洗濯物を床に一旦纏めて置いておいたその前に腰を下ろしていたあたしは驚いて後ろを振り返った。



ソファーの背もたれにヒジをつきながらも優がジっとあたしの事を見下ろしていた。いったいいつの間に部屋の中に入ってきたのか、気配も足音も無かったぞ。



「声かけようかと思ったら愛理ちゃんが盛大な溜息ついてたから」


「ああ…ちょっとね」


「悩み事ですか?」



優はふわりと微笑んで小首を傾げて見せる。オレンジ色の甘そうな髪色とその表情と、何から何までずるい。指定の制服のシャツにネクタイにズボン、そして黒のカーディガンを着ている優は部屋の時計をちらりと確認し口を曲げる。



「学校休もうかなー」


「何言ってるんだ優さん!駄目だよ!高校生活はその時しか味わえないんだから大事にせねば!」


「そうやけどさあ」