ほっと胸を撫で下ろし。



「あ!」



ある事に気が付く。



「なんだようるせーな」


「あたし昨日家飛び出してきたから服何も持ってきてないんだ…」




色々ありすぎて忘れていたけど。下着すら持ってきてない。こりゃいかん。さすがに若きぴちぴち女子としてそこだけはしっかりせねば。




「あー確かにそうやな」



でも家に帰るのは正直気まずいのだ。家を飛び出す時、かなりでかい口を叩いて出て来た。それなのにひょっこり顔を出し服だけを取りに行ったらーーーーああ、またきっと喧嘩になるだろうな。




わーわーどうしようどうしよう。頭を抱えるあたしを見て。



「…お姉さんちょっとツラ貸せ」



怠そうに空が椅子から立ち上がりあたしの腕を掴み部屋から出て行こうとする。一瞬ビクリと肩を上げたあたしに「もう痛くしねえよ」空がこちらも見ずにそう言ってくる。



確かに全く痛くは無いがさっきの出来事があるとさすがに。



「いやーー!!!無理無理!!殺される!面貸せとか怖いわ!外に連れて行ってぶん殴るつもりでしょ!やややや、やんのかコラ!そっちがその気ならあたしもそれなりにその気を出して」


「うっせえ黙れ犯すぞ」


「ひいいいい!!助けて怖い!さすがにそれ怖い!!優さん助けて助けて!!」



慌てて近くにいた優に掴まれていない手を伸ばした。―――――――が、スカッ。優は何故かあたしの手をギリギリでかわして満面の笑顔を向け手をヒラヒラ振ってくる。



「行ってらっしゃーい」なんて言いながら。




その行ってらっしゃいが今は逝ってらっしゃいにしか聞こえないぞ。