記憶をぐいぐいと手繰り寄せてみた。




あたしがまだ高校生だった頃、あたしの高校の周りでは変な縄張り争いみたいのがよく起きていたらしい。らしいと言うのは直接関わった事は当然無いし、人から聞いただけの話だったから。



争っていたのはどうやら男子高と言う話しだった。『北原高校』『南原高校』『東原高校』『西原高校』四つとも有名な不良高校だとは聞いていた。あまり関わらない方がいいとも。



悪い時は路上で出くわしただけで周りも気にせず喧嘩が始まったり。相手高に乗り込んだりと…悪い噂はたくさん聞いてた。



まさかその話の主達が目の前にいる四人なのか。しかもその噂の一つである北原高校のリーダーが優なんて。



それはそれはーーーーーーーー。



呆然としたまま優を見つめるあたしを見て、空は冷めた表情のまま言葉を繋ぐ。




「……分かっただろ。お前は隼人のあんな姿見て同情してここに残るか悩んでるみてえだけどな。俺らと関わるのにそんな甘い考えじゃやってけねえんだよ。」



その通りだ。あたしは隼人くんの姿を見て可哀想だと思ってその傷の話しをいつかしてくれたらいいなと思った。だから優がもしもう一度残ってもいいと言ってくれたら悩んでいたと思う。



「俺らは今すげえ大変な時期なんだ。南原の方は優のおかげで吸収できたけど他二つとは今もまだ抗争が耐えねえし。そこにお前みたいなか弱い女が優の女じゃねえの?なんて噂がたったらどーよ?」



それはーーーーー。



「危ない事になるのかね?」



えへへ、小首を傾げながらもポリポリと頬を掻いて笑って見せる。翼がサっと呆れたような表情に変え、隼人くんがパチパチと瞬き、優が「ゴホッ」咳き込み、空に至ってはーーーー。



「ははははっ、こいつぶん殴っていいか?」




笑顔のままあたしの襟元を掴もうと手を伸ばしてきた。殺られる!!!