「お前どんな技つかったんだよ。黒魔術か?催眠術か?」



未だ降参ポーズと見せかけたファインティングポーズを向ける翼はケラケラケラケラ小馬鹿にするように笑いながらも問いかける。そんな摩訶不思議な技使えるわけなかろう。あたしを何だと思ってるんだ。



「それか意外とすごいテク持ってて隼人を骨抜きにしちゃったとかねー やだやだ怖いわー。もしかして既に事後なの?さいっていー」



かと思えば空がヘラヘラと笑いながら卑猥すぎる言葉を投げてくる。



「黙れ金さん銀さん」



ズビシ、それぞれ人差し指を突き付け、鋭い声でたしなめてやると「いやーんこわーい」何て冗談っぽい悲鳴を上げながらな隼人くんを挟んで3人で抱き合ってやがる。



苦しい苦しいと悲鳴を上げる隼人くんなんてお構いなしにギュウギュウと。



「っつーかさあ、愛愛ってどーなのよ」



隼人くんをぎゅうぎゅうとサンドイッチしながらも空が「ねえ?」含みのある言い方で翼ににやにや笑いかけている。その表情を見て、嫌な予感がするなと自然と眉間に濃いシワが寄った。



聞いた翼も隼人くんをサンドイッチ状態にしながら「ああ確かに」笑いながら頭を縦に振り。



「愛愛ってアレだよな。あーいあいって歌のさ。」


「そうそう歌のねえ。あーいあい。」


「「おサールさーんだよー」」



ふっ。包丁ってどこにあったかな。



冷めた瞳をスーっと部屋の中彷徨わせる。見つけた包丁で視線を止めると「やめて愛理ちゃん!落ち着いて!」優がふらりと歩き出したあたしの肩を押さえてきた。止めるでない。この双子、一回痛い目合わせないと分からないんだからきっと。



「おい何愛愛いじめてんだよ!何がお猿さんだよ。愛愛はもっと可愛いし!」



隼人くんの言葉に双子がまた顔を見合わせてる。