―――――ガチャ、バタン!!!



台所で隼人くんと向かい合って椅子に腰掛けていると廊下の奥から荒々しい音が聞こえてきて驚いた。ビクリと肩を上げ、ガラス張りのドアの方へと視線を投げるあたしの向かいで。



「優ちん達帰ってきたのかな?」



あたしの作ったオムライスを笑顔で頬張りながら隼人くんが小首を傾げた。ちょんまげにしていた前髪がふにゃん、傾げた方向へと垂れる。それがまた何とも可愛い。



「え…でも帰りは夕方って言ってたけどなあ。」



頬杖をつきながらも自然とふにゃり、表情が緩む。あー癒し、何て可愛い男の子。もうその小首を傾げた姿もきょとんとした表情も何から何まで癒しっす。そんな事を思っていると。



――――――――ガシャン!!



ガラスが割れるんじゃないかと思うほどの勢いで優と翼がまず部屋の中へと飛び込んできた。その後を追うようにダラダラと現れた空は何故かあたしを見つめ「っち」舌打ち。なんなんすか。



「隼人!!」



昨日ぶりの眩しい金髪があたしの目の前を横切り隼人くんに駆け寄る。翼は隼人くんに駆け寄るとあたしから引き離すように椅子から引っ張り自分の後ろに隠してる。



ああ。やっぱり翼も隼人くんの事情を知ってるんだ。でも何だかこれはこれでちょっとおかしくないか?まるであたしが今にも隼人くんを襲おうとしてたのを助けたみたいなね…



「隼人お前大丈夫なん?」



大慌てな翼よりも少しだけ落ち着いている様子の優が、肩で息をしながら翼の後ろの隼人くんを確認してる。覗き込むようにしながらも乱れたオレンジ色の髪をかきあげていた。



いったいどこから走ってきたんだろう。それに比べて兄貴の余裕な姿といったら。「やれやれー疲れたー」とか言ってますけどあなた全く疲れていませんよね?



たぶん隼人くんとあたしが鉢合わせる前にたどり着こうとしたのかな。