まだあたしの行き先は決まってはいないけど、いつまでもここに甘えるのはいけない事だと思うから。
よしっと気合を入れて寝室を出る。寝室から出た廊下も、部屋一つ一つも本当に高級感溢れる部屋だ。
男の子なのに綺麗に片付けられてるし。見渡しながらこういうのって性格が出るよね、と感心。
これが翼の部屋ならきっとゴッチャゴチャだと思うな。
空の部屋ならきっと見てはいけないものがたくさん置いてある気がする。
たぶんあの異色な三人組がうまく仲良くまとまってられるのは真ん中に仲裁的存在の優がいるからだと思う。それに…あの三人っていったい何者なんだろうか…。
ただの高校生には見えない。昨日の出来事を思い出せば普通だとは到底思えない。本当は気になって仕方が無いけれどーーーーーまた翼が煩くなりそうだからこれはあたしの心の中だけで思っておく事にしよう。
丁度、考えの区切りが着いたところだった。
――――ブーブーブー。
優に先ほど渡されたあたしの携帯がポケットの中で震えだしたのは。
「おっと、」
誰からだろうとポケットの中から携帯を引き抜き画面に視線を落とす。新着メールのマークに受信ボックスをすぐに開くと新着メールの送り主は優からだった。さっき教えたばかりなのに律儀な子だと思いながら内容を確認。
【愛理ちゃん、目え覚めた?冷蔵庫の中勝手に漁って食べてええからな。帰りはまた翼と空が一緒に来るかもしれんけど、気にせんで居てええから】
何となく心を読まれた気がするぞ。
