ふかふかな枕とシーツが顔横に触れて思わず口元がだらしなく緩む。ああ、こんなにふかふかな布団で寝れるなんて幸せすぎる。




あたしの布団ってこんなにふかふかだったかな。ベッドもいつもより全然広い気がするなあーと両手をだらりと伸ばしてみる。



いつもならそんな風に伸ばせば片手がベッドから垂れ下がっていたはずなのにそれも今は無い。



なるほど、ああ、これって夢か。こんな心地良い夢ならもう少し見ていたいぞ。



「おーい」



――――――何?



微かに知らない声が聞こえてきた。ふわふわと頭上から落ちてくる声だ。



まだ寝ていたいんだから起こさないでくれ。もう少しこのふかふかなベッドの中に居させてほしい。



「おーいー……や……」



けれどまたもあたしを呼ぶ声が頭上からふわふわと落下してくる。




お母さんの声ともお父さんの声とも違う、ふにゃふにゃとした舌っ足らずな甘い声だ。いったいこれは誰の声だろう、声に誘われるままにゆっくりと薄めを開ける、と。



「愛理ちゃん朝やで?おはよ。」



視界の中いっぱいにオレンジ色の美少年。にこにこ笑顔の優があたしのベッドの横に腰かけてあたしの顔を頭上から覗き込んでいた。



「お…はよー…」



掠れる声のまま挨拶だけはしっかり返し、布団をずるずると目下まで引き上げる。朝からこんな眩しい笑顔の美少年に見下ろされるのは慣れない出来事すぎて困る。