「こいつぎゃあぎゃあうるせーし。俺らの事情も知らねえみたいだからよ。帰しても問題ねえと思うぜ」
うるさいは余計だけどね。でももっと言ってくれ。っであたしを安全な外に逃がしてください。
2人が話しかけている男をもう一度確認する。
翼の隣、静かに腰掛けている男の髪の色はオレンジ色という珍しい髪色だった。無造作にセットされている髪型なのに端正すぎる顔立ちには良く似合っていて、男にしては酷く綺麗な男だ。
うーん、唸っている姿だけで何故か絵になりそう。
「えっとーこの子名前なんやっけ?」
その顔立ちには何とも似合わないふにゃーっとした舌っ足らずな言葉が溢れる。関西弁も意外に思えた。
へらへらと何がそんなに楽しいのか、笑いながらあたしの事を見つめてくるオレンジ髪の男。
あたしは翼と銀髪男を交互に見た後、しらーっとした表情を返されたので仕方無く。
「あ…宮森 愛理…」
自分の名前を渋々そっと口にする。
「そっかあ。かわええ名前やなあ。俺は有岡 優(ありおか ゆう)、この2人がなんか迷惑かけたみたいで悪かったな?」
ほんわか和んでしまうような穏やかな笑顔をあたしに向けて言う。横と斜め前の男とは全然違う。
「俺ら迷惑なんかかけてねえよ!こいつが勝手に俺らの邪魔しやがっただけだわ」
「ちゃうやろ。翼はもうちょい冷静になれや。空から聞いたけどまた手だしたんやって?俺は話聞けばええ言うただけやろ」
「お前は甘すぎんだよ。俺らの仲間がやられて――――。」
そこまで言いかけて翼とあたしの視線が絡み合う。数秒迷ったように口をパクパク動かしていたが、「ちっ、」舌打ちをして続きを話す事をやめてしまった。
