そんな一番奥の部屋、開きっぱなしのそこへと引きずられて行くと大きな黒いソファーが二つに大きな液晶テレビが一つ、ととてもシンプルな部屋へとたどり着いた。テレビもソファーも特大サイズ。
本当にここに住む人はお金持ちなんだなー。
「おせえんだよ、さっさと終わらせてえんだから早く来い」
翼が黒いソファーに踏ん反り返りながらあたしを睨みつけてくる。
あたしだってありえない事がありすぎてまだ理解不能で混乱中なんだよ。時間をくれてもいいじゃないかと唇を尖らせると、やっとあたしの腕に絡みついていた銀髪の手が離れていった。
離れる間際じくじくと痛みが増した気がするが「痛い」とは言わなかった。言わなかったというよりも言えなかった。
言わせない雰囲気が銀髪から漂っていたからだ。
あたしの隣にいた翼の双子の兄貴がもう一つのソファーに腰掛けながらあたしに隣に座れば?と視線を投げかけてくるが首を振る。
見れば翼の隣には知らない男の人が座っていて、暫くその男を探るように凝視した後「おいでよお姉さん」冷えた声色で双子の兄貴に呼ばれ、最終的には逆らえずおずおずと銀髪男の隣に腰掛けた。
居心地悪く、身を小さくしながらも膝に落とした手を忙しなく交差させる、と。
「んで?どーすんのよ優ちゃん。この子とりあえず連れてきたけど。別に問題ないなら帰してやればいーんじゃね?」
銀髪男が口火を切った。それはなかなか良い事を言ったと勢い良く隣に顔を向けてウンウン頭を縦に振っておく。それに続くように翼が。
