「お姉さん今夜は暇なの?暇なら俺の相手してくれない?俺すっごく上手だよー?」
耳元で甘い声を落とされてあたしは肩を震わせ両手でベチン両耳を勢い良く抑える。何だ今の声。背筋がゾゾゾゾゾ、なったぞ。
「け…結構です…」
「ざーんねん。俺結構お姉さんの顔はタイプだったんだけどねー」
前言撤回、やっぱりこの兄貴も何だか変だ。出来が良いとか騙された。双子そろって質が悪い!弟はかなりのバカ男で兄貴はかなりのエロ男か!?
あわあわ慌てるあたしの元に翼の声が飛んでくる。
「お前ら何いちゃついてんだ。優が呼んでんぞ」
廊下の奥の部屋から再び顔を出した翼が生意気に顎で指図。顎かよ。
「へいへい、今行きますよっと」
あたしここに来て本当に大丈夫なんだろーか。命の危険とか体の危険とかそういうものを感じるんだけど気のせいじゃないよね。この一歩を踏み出したら色々ダメな気がするが。
けれどあたしに考える時間は与えてはくれないらしい。「ほらほらお姉さんおいでおいで」銀髪はダラっとした気の抜けるような声であたしを呼び、引きずるようにして室内へと引っ張った。
それに連れられ脱ぎ捨てるような形でパンプスを玄関に投げる。足を止める間も無く廊下を引きずる銀髪の手は翼の手より少々痛かった。
傍から見ればエスコートされているようにも見えるが実際掴まれている腕は悲鳴をあげている。
痛みに顔をしかめながらも高級マンションの一室を確認。何人ここに住んでいるのかは分からないが部屋数も多く、扉一つ一つが高級そうだ。
