時々翼はあたしの事が気にはなるのか あたしに振り返りまた前を向いて歩きだす。言葉は何もかけてはこなかったけれど。
そうして暫く歩いていくと翼がピタリと足を止めたのであたしも翼の肩に担がれたまま後ろを振り向き確認する。
そこにはいかにも高級そうなマンションが聳え建っていた。ライトアップから外観、何から何まで凄い。マンションの敷地内も広く花壇には色鮮やかな花が咲いていた。
「ここ?」
「ああ、いい加減重てえから降りろ。お前ここまで来たんだから暴れんなよ。腹くくれ」
「腹くくれってあたし何も悪い事してないのにっ」
よっこらしょなんて言いながらあたしを肩から下ろし、首をゴキゴキ鳴らしてる。「あー肩こったー」そんな声も聞こえるが失礼なので敢えて無視しようと思う。
「んじゃ行くぞ。」
翼は首を鳴らし終わり高級マンションの中に足を向けた。
どうしようか、逃げようか?ただ逃げたら最後こいつはきっと鬼の形相で追いかけてくるんだろうなと容易に想像出来たので仕方無く素直にあたしも足を動かして後を追う。
エレベーターの中に入り何の躊躇いも無く最上階のボタンを押す翼。
これから会う人はお金持ちの人なのかな……。
中に入って見れば外観だけでなく内装も豪華で眩しいマンションの中に目眩がする。ぐんと下から上へと押し上げられる感覚にあたしは緊張で唇を噛み締めた。
軽い音と共にエレベーターが最上階で停止した。エレベーターから降りると、この最上階にはどうやら一部屋しかないようで、ポツリと一室の扉だけが姿を現す。
