あたしはカレーだからと侮っていた。カレーごときなんて思ってはダメなんだ。されどカレーだったのだ。
双子は驚くほど手際が良かった。日頃ダラダラとやる気無さそうな空だけど、料理の時は別人だった。パッパと作業をこなしていく。足を引っ張ったのはあたしの方。
「愛愛頑張れー!」
椅子に座ってる隼人くんだけがあたしの癒しだ。何かをしようとするたびに「そうじゃねえ!それは後!」「お姉さんさっき何回も言ったよねえ?」双子に叱られ脅されて精神的にボロボロにされた。
「ったく信じられねー。料理は愛だぞ愛!お前には愛の欠片もねえな。名前変更しろよ。愛理じゃねえんだよ。勿体無えわその名前。今日からお前は理だな」
「すみませんでした。だから名前変更やめてください!」
「こういうのって性格出るからねえ。これだからガサツな女は」
はい。その通りですね。
これからはもっともっと愛をたっぷり入れた調理を皆さんに提供していこうと思われます。本当にすみませんでした。自分悔しいっす。
何はともあれ無事カレーは完成したので台所に優達を呼ぶ事に。台所にあるテーブルは優1人しか住んでいなかったにしては広すぎるテーブルなのでいつもより2人増えても全然平気だった。
「すみません、お手伝いすれば良かった…」
台所に入ってきて早々、謝る杏ちゃんにあたしは「いえいえとんでもない」両手を振る。大体この場に居たら双子が何を言ったか分かったものじゃない。
「愛理ちゃんが作ったん?」
「いいえ俺と兄貴です。応援は隼人です」
「ちょっと待て、あたしを入れてくれ。仲良くきゃっきゃと作ったじゃないか。さっきのあの時間は嘘だったのか」
「足引っ張り係はこいつです」
「酷い!」
しかしその通り過ぎてこれ以上は何も言えなかった。