「そ、そうだね。あたしご飯まだ作って無いからすぐ作っちゃうね!」


「お邪魔じゃないっすか?」



トシがおずおずと聞いてくる。いやいやまさかそんな、あたしが答えるのも何となくおかしいと思い言いかけた言葉を飲むと優が。



「全然?」



笑顔で小首を傾げトシと杏ちゃんを中へと引き入れた。




あたしは素早く台所へと向かい、扉を開ける。中で待っていたらしい隼人くんが飛びつくようにあたしの前へと立った。さっきの睨めつけるような瞳が嘘のようだ。



「愛愛、今日の飯何?」


「あー今日はカレー。大人数だとカレーは大活躍だからね!」



言うと既にエプロンを着けて台所のフチに腰を付け待っていた翼が袖をまくる。



「お前どうせ手際わりーからな、俺が手伝ってやるよ。」


「え…」


「んーじゃ俺もー。」



真後ろから聞こえた声に振り返る。そこには空が立っていて、翼と同じように袖を捲くりあげた所だった。



「いやいや何をおっしゃる双子さん。あたしこれでも女ですよ?料理くらい出来ますよ?」


「愛愛、こんなんだけどそーちんもつーちんもすげえ料理上手いんだよ」


「こんなんだけどは余計だろ」


「そうそう、誰が毎度毎度弁当作ってやってると思ってんの」


「え…そうなの?」




料理が出来るのはともかくだ、料理上手な双子なんて全く想像出来ない。いやそんなまさかーあっはっは、笑ったあたしを見つめた双子が至極真面目な表情のままトンと両脇からあたしを挟むようにして肩を組む。



「お姉さんなめてもらっちゃー困るよ」


「そうだぞ俺達は過去、死ぬ思いをして互いに生きていくために決死の努力で料理を覚えてここまで来たんだからな」


「その死ぬ思いだった出来事がとても気になる所です」


「とにかくだ」




えへん、翼が威張るように仰け反るとあたしからするりと離れ兄貴の肩に片手をかける。空がこてんと翼の肩に自分の頭を乗せにやりと二人で笑って見せた。



『俺達双子に任せなさい』




何故だろう、心強い言葉に聞こえたのは気のせいか。