やれやれと肩をすくめた空に「いやいやそんな事は無いよ？想像してごらんよ」言い聞かせた所で玄関のチャイムが鳴った。
「帰ってきたんじゃね？」
言われて二人揃って玄関へと向かう。扉を開けると玄関先には優と翼と隼人くんそしてーーーーーーーーー。
「トシと彼女さん！？」
トシと彼女さんもいらっしゃった。
トシはともかく彼女さんは凄く居心地が悪そうに前の隼人くんをチラチラと様子をうかがうように見つめてる。
隼人くんはあたしに会ったばかりの時みたいに怖がってはいないみたいだけど…明らかに嫌そうな表情だ。全く包み隠す事をしないものだから空気が重たい。
「ただいまーっと」
靴を脱ぎ捨てて中に入ってくる翼は当たり前のように自分の家気分だ。靴を揃える事もせずズカズカと中へと押し入っていった翼の背中を見つめ、仕方なく脱ぎ捨てた靴に手を伸ばし揃える。あたしはお前のお母さんか。
「おい飯まだ作ってねえのかよ！用意わりいな本当に」
さっき見たあの優しさはやはり幻覚だったらしい。台所に入っていくや否や、文句を投げてくる翼にげんなりする。
