女の勘ってやつだろうか。まだまだ優は全ては話きれないらしい。現にその話は無かった事のようにして振る舞う。距離は完全に縮まってはいない、だからあたしも聞くに聞けなかった。



「最近、俺らの仲間が襲われてる。南の方もやられてるらしいねん」




優の言葉で思考をまた元に戻す。今は優の話を真剣に聞かなくちゃいけない。



「誰がやってるかわかるの?」


「十中八九、東の仕業やろ。西の奴とは昔やり合ったけどあそこはそんなちまちま攻撃してこんかったからな。」


「そこまで分かってれば話は早いんじゃ?」



だって東原がやっていると分かるならその場所に話しに行けば丸く収まりそうだけど、違うのかな。



「南原の時もそんな感じで丸く収まったんでしょ?」


「いや、南とまた話しが違う。それに問題なんは東のリーダーが誰か分からん事。場所も時間もバラバラやし人数もその場その場で違って俺達の仲間が決まって少人数の時に襲ってくるらしいねん。」


「じゃあ今日も襲われたの?」


「襲われてた所に連絡が入って俺らが出たの。あれ、愛理ちゃん後着けてきてたんちゃうの?」




ああ、そう言えばそう言われたんだった。すっかり忘れていたけれども、あたしにストーカーの趣味は無いぞ。




「あれは実家に帰った帰りにたまたま出くわしただけなのさ!まあ声が聞こえて見に行ったから着いて言ったと言われればそうかもしれないけど、一部始終最初から見てたわけじゃないんだよ」


「実家…?」


「お母さんから連絡が来たからご飯だけ一緒に食べてきたんだよね。」


「そう…なんや」


「うん、でも知り合いの家にお世話になってるからって帰ったんだ、本当は家に帰るべきなんだけどね。何かついつい優さんの顔見たくなっちゃって」


「いや…」


優がわざとらしい咳払いをする、ゴホン。何を言うのかと思えば。



「帰って来てくれて良かったって思ってる。」



そう言われた。