「南のリーダーは今３年、その時と変わらずリーダーやし今も連絡取り合ってる。やから南のとこにそのうち愛理ちゃんを紹介しにいきたいんやけど、ええ？」
「ええ！何で！」
「いや一応話しはしたんやけどさ！ほら俺と同居してるんやしあっちも顔くらいは覚えないと、ってしつこく言われて…」
それはそうかもしれないけど、大丈夫だろうか。想像したらあたし完全に浮いてる人。
「大丈夫だろうか…」
「平気やって、そんな緊張するだけ無駄な相手やで。あいつ性格ほんま悪いから、さらーっと流してさらーっと自己紹介して帰ろ？」
「そ、そうか…うん」
ただ引っかかる言葉がある。顔くらい覚えないと、つまりあたしの顔を向こうも覚えておかないと不便な状況だと言う事だ。それはもしも何かがあった時…と言う事なんだろうか。
「なるほど…分かった。一緒に行くよ」
「うん、今度ね。今話した内容が俺がリーダーに至るまでの話やねん。重要なのはここからで」
優はそこで不自然なくらいはたと言葉を止めた。まるで一瞬何かを思い出したように。
あたしの顔を凝視したまま固まる。何かと重ねたようにして、あたしをジッと見据えると、「それで」会話を繋ぐ。
今の一瞬は何だろう。
「それでね、最近の話なんやけど」
問いかける間も無く言葉は繋がってしまった。無理矢理聞く事を躊躇ってあたしも会話を「うん」促す。だけど一瞬、ほんの一瞬あたしを通して見つめた人は誰だったのか、あたしでは無い誰かを見たのだけは気づいた。
