「まあ、ほんでも俺その時まだ一年やったし。三年の人らも二年の人らもぜーんぜん納得いかなかったみたいやで」



他人事のように笑うけど、大変だったんじゃないかと思う。憧れの人から託されたものは大きいし、上手くいかない事にもきっと悩んだに違いない。笑えるのは今、ちゃんと乗り越えられたからだろう。



だってリーダーになったからにはやらなければいけない事がきっとあったんじゃないだろうか。あたしがこの目で見たわけでは無いから絶対とは言い切れないけど。



「秋頃やったかな…俺の事、皆がリーダーとして認めてくれたのは…。」


「何かあったの?」


「南原のリーダーから伝言が届いてん、俺1人で南原に来いって。どういう状況かも分からんかったけど、それに乗った」


「凄いね」


「ある意味無謀やけどな。空達も納得せんかったし、でもこれがチャンスかなとも思って。何も行動しないよりマシやろ」


「じゃあ1人で行ったの?」


「うん行った。」



その時の空や翼や隼人くんの顔が目に浮かぶようだ。あたしだってそんな事を言われたら全力で止めに入る。それでも行くと言うのならコソコソと見つからないようにきっと追いかけちゃう。



だって仲が良くないその場所にたった1人で行くなんて心配だから。それも呼び出されたなんて、裏があるとしか思えない。




「先輩達は正反対で大喜び。俺がボロボロで泣きながら帰ってきてリーダー交代してくれーって泣きついてくるやろうって思ってたんやな」


「そうなんだ」


「どういう状況になるんやろって思いながら南原の所に行ったら、俺がほんまに1人で来た事に驚い取ったわ。」


「だろうね、まさかだよ本当」