「おい空!!ったく…めんどくせー事いっつも俺にやらせやがって」
銀髪が消えた方向へと一度呼びかけた金髪は、顔をしかめながらも金色の頭をガシガシ掻き、あたしにくるりと勢いよく体を向けた。
それに驚き飛び退くようにして一度後退するが硬直した体は言う事を聞いてくれず無様にフラフラとフラついてしまう。
せ、せめて殺されるならまだ銀髪の方が良かった気がするんだけど。目の前で不気味に笑いながら男を殴っていたこいつを残されても困る。
それでも無駄な抵抗を見せようと緩くファインティングポーズを取ろうとしたあたしに唐突にーーーー。
「お前名前は?」
金髪がそう問いかけた。
「は?」
「は?じゃねえよ。喧嘩うってんのか?名前だよ名前!」
そんな、突然見ず知らずの、しかも危なそうな男に名前を聞かれたら聞き返してしまうのは仕方無いと思うのにいちいち逆上してくるこの男にあたしは訳が分からない。
名前は…って。口をもごもごと無意味に開いて閉じて繰り返してみるが金髪があまりに恐ろしい顔で睨むから渋々口をゆっくり開いた。
「宮森(みやもり)」
「……みや…下の名前は…」
一瞬あたしの名前で考えるような表情を見せた男はすぐに面倒臭そうにポケットに手を突っ込みながら聞いてくる。
面倒臭いなら聞くなよ。失礼な奴だ。
