「あ?もらわなくていいだろ」


丈の顔が険しくなる。


「ごめんね、ほかの子にあげて」


神谷くんにペコっと頭を下げる。


「ほかの子にあげるなら自分で持ってるよ」


第二ボタンを自分のポケットにしまう。


「あー。むかつく!やしな行くぞ!」


丈に腕を引っ張られて教室を出る。


「丈、どこ行くの?」


階段を1階分下がる。


「ここ」


〝2-1〟

そう入り口に書いている教室。


「…あ」

「ここではじまったよな」


この教室で丈と話した思い出。

でも、あたしは


「あたしは体育館だもん」

「あーそうだな。でも顔よく知らなかったくせに」


あたしの鼻をつかむ。