「丈近くてよかったな!」


なんて丈の肩を揺らす。


「うるせー」


丈は不機嫌そうに神谷くんをにらむ。


「睨むなよ。俺がやしなの隣だからってこえーよ」


神谷くんがぶるっと震える。


「そんなんじゃねぇよ」


丈はそれだけ言うと前を向く。


関係ないもんね。
丈はあたしのことなんて好きでもないんだ。

もしかしたら
ずっとあたしだけだが好きだったのかもしれない。

そんな感情に追いやられる。

でも、この指輪をみるとそんな風には思えなくて。

昨日戻ってきた指輪。
ああやって言われたけどどうしてもなくせなくて薬指にはめてしまっている。


「あー!丈くんの隣だー」


うれしそうな声が斜め前から。


「げっ」


本日二度目のこの発言。
さっきいよりもいやだ。