恋愛白書

「きゃっ」


階段を下りようとしたところで篠原がつまずく。


「大丈夫かよ」


俺は篠原の体を支える。


「ありがとう。ドジで嫌になっちゃうけど、なんか抱きしめられてるみたいでラッキー」


なんて笑う。


「バカだろ」


俺は篠原の頭をぽんっと叩く。


「…えっ…」


ふと後ろからそんな声が聞こえた。


「...っ」


見上げるとそこにはなぜか息を切らしているやしながいた。


「違っ」


俺はあわてて篠原の体を自分から離す。


「もう、いいよ」


やしながトーンダウンしている声で言う。


「やしな。違う」

「うん。あたしからも。これはただ階段でつまずいただけだから」


篠原がやしなの手をとって説明する。

あれ、いつから篠原ってこんないいやつになってたんだ。


「わかった」

「委員会だろ?」


俺の言葉にうなずく。


「行って来い」


やしなの背中をポンっと叩く。