「あ、もういるね」


玄関の靴を見て、光が言う。


「あーほんとだ」


あたしたちも靴を脱いで部屋に入る。


今日はすっごく嫌だけど。
篠原さんと同じ部屋。


「紗奈、最近丈くんといい感じじゃーん」


部屋の中からそんな声が聞こえる。


「えへへ。そうかなぁ?」


なんて篠原さんも照れたように発する。


「やしなちゃんとも別れたらしいし。ね?」


中から聞こえる言葉はあたしの心に重くのしかかるもので。


「あいつらうちらいるのわかって言ってる」


光がバンっとドアを開ける。


「あ、いたんだ?」


篠原さんがわざとらしく微笑む。


なんでなんだろう。
よりにもよって同じ部屋なの。