「あんまそういうこと言うな」

「どうして?」


篠原が首をかしげる。


「俺、なにも応えてやれねぇから」

「でも、なんで急にこうして帰ってくれるの?」

「むしゃくしゃしてるから」


俺は川に石ころを投げる。


「竜二のせい?」

「まぁ、な」


神谷さえいなければ
こんなふうにはなってない。


「丈くんとこうできるなら竜二に感謝だな」


篠原が笑う。


「冗談じゃねぇよ」


あいつ、前は篠原のことが好きだったのに


「竜二がやしなちゃんを好きになったほうが丈くんより前なのに」

「は?」

「1年のときだもん」


…まじかよ。


「別に年数が勝つわけじゃねぇよ」


俺はそのまま家に入る。


むしゃくしゃが止まんねぇ。