「さっきから押し込んでばかりだなやしな」


俺は笑いながら言う。


「どういうつもり?」


いつになくまじめな顔のやしな。


「なにが?」

「だから、なんであんなことお母さんに言うの?だいたい、あたしたち付き合ってなんかないでしょ?」


やしなが腕を組んで言う。


「俺がそうしたいから言っただけなんだけど」

「え?」

「やしなは嫌?俺と付き合うの。こんな素直じゃないくせに自分が悪いくせにヤキモチは焼くような男嫌?」


俺はやしなの顔をのぞきこむ。


「いや、じゃない」


やしなはそのままへたへたと座り込む。