「やしなちゃん。ちょっといいかな?」
みんなで帰ろうとすると玄関のドアに寄りかかる絵里香さんがいた。
「え?なんですか?」
思いっきり、嫌そうな顔をしてしまった。
でも、当たり前だ。
自分の彼氏を盗った人と好き好んで話す人はいないだろう。
何なの?
この人。
ちょっと無神経じゃないか。
「絵里香、いい加減にしろよ。何なんだよ。無神経にもほどがあるぞ」
モリーがあたしに助け船を出してくれる。
「ちょっと話をしたいなって思って。モリーには関係ないでしょ!」
絵里香さんが、モリーにふんっと、ふくれる。
「関係あるよ。友達だし。友達が困ってるときには、助けるのが当たり前だろ?」
あたしは心の中で
「うんうん」と思う。



