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「…町の中も捜索したけど、どこにもいなかった」



原田左之助は顔を曇らせる。



その報告に小さな舌打ちが響く。



「…やっぱり奴らに…」


一緒に土方歳三の部屋に来ていた永倉新八が疲れたように言葉を漏らす。



土方歳三が瞼を下ろしたその時だった。




障子が勢いよく開いて、鬱陶しそうに瞼を開く。



「平助、急いでるのは分かるが…」

「雨がいないんだ!!!」



土方歳三が言い終わる前に彼の言葉が飛ぶ。



血色の悪い顔が3人にもうつったように、表情が変わっていく。




「…お前に香月のことを頼んだはずだが?」



藤堂平助は「気がついたら…」とモゴモゴと言い訳を漏らす。


3人は深い溜め息をついた。



「ご、ごめんって!

でも…、雨もそんな簡単に殺られる奴じゃ…ないし…」


語尾が小さくなっていく藤堂平助。




「そうだね。

雨ちゃんはちゃんと刀とか持って行ってるみたいだからね。

前の男が居ない限りは大丈夫だよ」



クスクスと笑う声が聞こえ、4人はゆっくりとそちらを見る。