そんな時だった。




「土方さん」



私の横から声が上がる。



トシは表情を変えずに彼を見る。




「僕、最近ちょっと風邪気味みたいなんで、外してもらえない?

代わりに一くんが行くとかはどうです?」



苦笑を浮かべて、総司は珍しく出陣を断る。



トシも目を見開きながらも、一の方を見ると彼がコクリと頷いたので、肯定ととる。




「じゃあ総司と変わって、斎藤が行く。

それでいいな?

他に変更は?」



騒ぐ隊士たちを軽く威圧するような声は、その場を凍らせた。




「変更が無ぇなら終わりだ。

仕事に戻れ」



個々の耳にどう届いたのか、そそくさと大広間を出て行く隊士たち。




「さすが鬼の副長」


左之が隣でボソリと言った言葉にフッと吹き出す。