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「またイジメられたの?」


1人でバドミントンの道具を片付けていると、ふいにそんな声が聞こえて来て振り向いた。


そこには赤いワンピース姿のチアキが立っていた。


チアキは呆れ顔であたしを見ている。


あたしはすぐにチアキから視線をそらして、片づけを続けた。


「無視するの?」


「出てきてほしいなんて行ってないし」


あたしは突っぱねる。


チアキという少女は、あたしが小学校時代に作り上げた架空の女の子だった。


病弱で学校に行くこともままならなかった頃、寂しさを紛らわせるために作った。


そんなチアキも、中学に上がってからはあまり出て来なくなっていたのに、心が寂しいと感じている時に不意に出てきたりする。


「千里、今友達いないじゃん」


「いるよ」


「どこに?」


「……玲子」


「玲子は昔からの友達。今の友達のことだよ」


「うるさいな!!」


あたしはチアキを睨み付けた。