だけど、そんな楽しい日々は長くは続かなかった。


あたしがウォーミングアップや、マネージャーのような仕事を頑張っているのを見ていた先生が、今度はちゃんと参加してみたらどうかと提案してくれたのだ。


それはとても嬉しい誘いだった。


いつもコートの隅で見ているだけだった場所に立つなんて、あたしにとっては夢のような話だったから。


メンバーたちは一瞬ざわめいたが、それでも快くその提案を受け入れてくれた。


あたしが初めてスコート姿でグラウンドへ出てきた時には拍手が起こったほどだった。


はじめて持つ自分のラケット。


コートへと足を進めると、自然と背筋が伸びていた。


「体調が悪くなったらすぐに言う事。無理はしないこと、いい?」


最後に先生にそう注意をされて、あたしは初めてちゃんとした部活動に参加をしたのだった。