それが、変わったのは入部一週間が過ぎたころだった。


「ウォーミングアップを一緒にしてみない?」


先生がそう声をかけてきてくれたのだ。


あたしは先生の言葉に一瞬戸惑った。


大丈夫だろうか?


バドミントン部のウォーミングアップと言っても、グラウンドを走ったりする。


「ストレッチだけでも、ね?」


あたしの不安を察したのか、先生がそう言ってきてくれた。


それならきっと大丈夫だ。


あたしは頷き、ウォーミングアップに参加することになった。


ストレッチ程度ならどうってことはなかった。


ずっと運動しないように注意してきていたから、怖がりすぎていたのかもしれない。


みんなと同じように動ける事が楽しくて、あたしはその日を境にウォーミングアップに参加するようになった。


その様子を見ていたメンバーたちも嬉しそうにしてくれているように見えた。


「今日はグラウンドを走ってみる? みんなは3週するけど、妹尾さんは自分ができる範囲でいいから」


そう声をかけてくれたのは部長だった。


その日は先生が遅れてやって来る日だった。


「あたしも混ざっていいんですか?」


あたしが混ざればきっとみんなの足を引っ張る事になる。


一番不安が残るところだった。


「もちろん。ただ走るだけだもん、誰の迷惑にもならないよ」


そう言ってくれた時は、みんなあたしの頑張りを認めてくれたんだと思い、とても嬉しかった。