空はどこまでも広くて高い。


そんな空を見ていると、自分の心の中の感情なんてとても小さなものに感じられて、涙なんてひっこんでしまうのだ。


そうしていると、あたしの背中に風の腕が回された。


華奢な風の手だけれど、ギュッと抱きしめられるとちゃんと温もりを感じることができた。


「……ごめんね、風」


「どうして謝るの?」


風の声がすぐ近くで感じられる。


あたしたちはいつだって一緒にいたはずだった。


「大丈夫だよ千里。俺だってすぐに千里においつくからね。だからそのときまで、さよなら」


また会おう。


また来るよ。


だからその日までさよなら……。


なのにいつからだろう?


あたしは風の存在を忘れてしまっていたんだ……。