「千里、あんたはもう1人でも大丈夫。あたしみたいな幻想は必要ない」


「でもっ!」


「大学に行ったらちゃんと患者さんを直視して、現実に目を向けて生きていかなきゃダメだからね」


チアキの声がどんどん小さくなっていく。


そして、最後にはその姿も弾けるようにして消えてしまった。


キラキラと光る輝きが空へ登って行く。


いつも人を見下したような物言いをするチアキ。


それでもあたしが出てきてほしいと思った時に出て来てくれていたチアキ。


病院通いだった時に、唯一仲良しでいてくれたチアキ。


あたしの、最高の幻想。


「チアキ!! 今まで本当にありがとう!」


あたしはその光へ向けて、大きな声で叫んだのだった。