「じゃぁ、お土産はここに置いておくから」


あたしはテレビ台の上に紙袋を置いた。


「また来るからね」


そう言い、ドアへと向かう。


「千里……」


ドアに手をかけた時、風が小さな声であたしを呼んだ。


「なに?」


あたしは手をひっこめ、振り返る。


風はあたしではなく、逆側の窓を見ていた。


とても晴れた青空を。


「千里も、無理はしなくていいよ」


「え……?」


風の言葉にあたしは自分の時間が停止していくのを感じていた。


規則正しく時を刻んでいた秒針が、とたんにその動きを鈍くしたような感じだ。


「151回目。そんなの、しんどいだろ?」


風はあたしを見ずにそう言った。


あたしは心臓に爆弾を落とされたような感覚がして、一瞬よろめいた。


なんとか倒れずに済み、風を見る。