「嘘でしょ」


呆れたような声色でそう言う風。


あたしはチラリと風の顔を見た。


風は怒っているようだ。


まぁ、彼女が学校をサボって嬉しがる彼氏なんて、滅多にいないだろう。


「ダメでしょ、ちゃんと学校行かなきゃ」


「……ごめんなさい」


「勉強、ついていくのがやっとなんだろ?」


「……ごめんなさい」


「でも、来てくれて嬉しい」


最後の言葉でバッと顔を上げた。


風はいつものように優しく笑ってくれている。


「風!」


あたしは思わず風に抱き着いていた。


筋肉が弱り、すっかり細くなってしまった風の体。


あたしが抱き着いただけでもフラついてしまう風の体。


だけどそこには確かに体温があって、生きていると知らせてくれている。