それからあたしたちは砂浜で貝を探したりして遊んでいた。


もちろん海にも入ったけれど、あまり風を1人にさせたくなかったから。


「千里! この貝殻見て! 形がちゃんと残ってる!」


「千里! こっち来て! 砂で城をつくってあるよ!」


みるものすべてが新鮮な風は終始目を輝かせて砂浜を歩いていた。


「よかったね、楽しんでるみたいで」


玲子が風を見てクスクス笑ってそう言った。


「ちょっとはしゃぎ過ぎだけどね」


あたしは呆れ顔で風を見つめる。


風はさっきから子供みたいなのだ。


周囲の視線がすこしだけ痛い。


「いいじゃん。今日はあたしたちも思いっきりはしゃごうよ!」


玲子はそう言い、あたしの手をとって走り出した。


その先には風がいる。


「風! あの砂の城に負けないくらいでかいの作るよ!」


「え? マジで!?」


風の目が更に輝きを増したのを見て、あたしは声を出して笑ったのだった。