あたしたちの会話を、玲子がほほ笑んで聞いている。


「さ、駅に到着! 下りるよ、2人とも!」


玲子に肩を叩かれて、あたしたちは電車を降りたのだった。


「すごい! 本当に風の香りが違う!」


電車を降りて風が最初に言ったのはその言葉だった。


「でしょ?」


「うん。でもなんだか少しベトつく」


「潮だからね」


あたしたちは並んで歩きながら海を目指した。


今日は花火大会ということもあって、海水浴客が沢山いる。


どうにか場所取りをしてビニールシートをひき、日除けの大きな傘を差した。


「じゃぁ、着替えて来るから待っててね」


「うん、行ってらっしゃい」


シートの上で胡坐をかいて座る風に手を振り、更衣室へ向かった。