「風も誘うんでしょ?」


玲子にそう言われて、あたしは運ばれてきたパスタから視線を上げた。


「え?」


「だって、中学最後の夏休みだよ? 彼氏を誘わなくて誰を誘うの?」


玲子はまるで、当たり前の事みたいにそう言った。


そして運ばれてきたグラタンを熱そうに口に運ぶ。


「でも……」


風の体は普通じゃない。


みんなと遠出をしている時になにかがあったら、みんなにも迷惑をかけてしまう。


「遠慮しなくていいよ」


玲子はあたしの気持ちなんてお見通しのようにそう言った。


「遠慮なんて、そんな……」


「してるでしょ?」


そう聞かれたら、もう何も言えなくなってしまった。


確かに玲子の言う通り。


風と一緒に行きたい場所があっても、我慢してきていた。