「夜のターンと処分の時間です。まずアイマスクをつけてください。そしてふせてください。アイマスクを外したり顔を上げたりした場合は殺します。」
アイマスクを配り始める先生。先生はどうしてしまったのだろう。ここまでいつもと違うと落ち着かない。
それぞれアイマスクをつけ、机の上にみんなは顔をふせた。そして次の指示を待った。
「まず、人狼さん顔を上げてアイマスクをとって仲間を確認してください。人狼でない人はふせたままにしてください。人狼さんは顔を上げてもしゃべってはいけません。」
私はおそるおそる顔を上げてアイマスクからまずはチラッと目を出した。みんなが外していたからそのままスッと外すことにした。
私以外の人狼は島本 穂稀、吉本 一真、青山 麻莉、榎本 星羅だった。
「誰を殺害しますか?指を指してください。」
榎本か真っ先に神田 愛莉沙を指名した。みんなは反対もないようで私は嫌だったけど声も出したらだめだし何より逆らいたくなかったからだ。榎本 星羅は中心グループの1人なのだ。逆らったらいじめにでもあいそうだ。
「わかりました。ではふせてください。次に占い師ですが肩を叩かれた人から占いを始めてください。しゃべることはもちろん禁止です。」
占い師どうしはわかってはいけないのだろう。まだ人狼ゲームのルールはよくわかっていない。
「その人はこれです。ふせてください。もう一人の人は誰を占いますか?」
誰を占うのだろう。占ったらどうなるんだろう。私が占われたら、ダメな気がする。
「その人はこれです。ふせてください。次に騎士ですが先ほどと同じように肩を叩かれた人から。誰を守りますか?」
先生の声しか聞こえない。なんだか不気味だ。このクラスは結構騒がしいクラスなのだ。
「わかりました。次の人は…………………その人ですね。わかりました。霊媒師さん顔を上げてください。今日死んだ人はこれです。ふせてください。続いて人狼さん立ってください。」
何を、するんだろう?と思った。
「それと今から肩を叩かれた人も立ってください。」
不安な中またマスクをとり立ち上がる。
「廊下へ出てください。先生がいない間に顔を上げても死ぬので上げないように。」
「ってらんねーよ。もーなんか限界だわ。なんでこんなに静かなんだよ。あぁ?」
「菊池くん今すぐ黙りなさい。顔を上げてないならまだ助かります。」
「っせぇーんだよくそやろー!なんだよ先生。どーしちまったんだよ!!先生がそんなんだからみんな静かなんだろ!?殺されるーとか死ぬーとか嘘なんだろ?なぁ?」
そう言いアイマスクをバッと外しこちらを向いた。
「手遅れのようですね。一緒にじゃあ来てください…………。」
「その前に人狼ってやつを教えてやろーか?」
「……………」
先生もそう言うと思ってなかったようで一瞬何も言わなくなってしまった。
「人狼はなぁ!?は………」
ーーーーパンッッッッッ!!!
名前をいう途中で打たれてしまった。今度は悲鳴なんてなかった。みんな怯えていた。きっと先生の言う通りにしないときっと殺されるのだ。
「…………行きます。」
先生のその声で私たち人狼と神田 愛莉沙が廊下へ出たのだった。



廊下には血が大量にあった。あったというより流れていたのか?とにかく血の海となっていた。岩田くんも血の海の中に眠っていた。どうしてこんな血の海みたいになっているのだろう。
「誰が、殺害しますか……?」
「え、私殺されるの?人狼に?」
無言。誰も喋らなかった。誰もこんな役は嫌なのだ。
こうなることは予想していた。
「お前が殺せよ。長谷川。」
ビクッと肩を揺らした。長谷川、私の名前だ。私が殺さなければならないなんて。
「い、いやだよ。待って、なんで人狼が殺さなきゃいけないの?」
「そういうルールだからです。長谷川さん、お願いします。」
「え、嘘………」
殺したくない、殺したくなんかない。愛莉沙を殺すなんてできない。
「はやくやれよ。やらねーとあんたを次処刑してもらうようにするよ?」
私は震えているようだ。足も手も、ブルブル震えている。先生はその手にナイフを置いた。しかたがない………。
「愛莉沙、ごめん、ね?」
ブスッと鈍い遠がする。愛莉沙は服を真っ赤にしながら苦しげな顔で倒れた。しゃべらない。いや、しゃべるのが苦しいとわかっているのだろう。
「ふふ………」
誰かの声がした。誰の声かはわからない。でも私には聞こえた。女性の笑い声が。
そしてナイフは首を刺した。真っ赤な血が吹き出している。廊下が血の海なのはこれのせいなのだろうか。教室にこの声は聞こえたりしてないのだろうか。
「…………遺体を燃やします。クラスで死んだものの処分は人狼がするのです………。」
教室に再び入り、菊池の遺体を運ぶ。どこで燃やすのだろうか。先生と私たちで4人の遺体を運ぶ。もぅクラスは30人になったんだ。もぅ34人になることは、ない………。
運動場に来た私たちはほかのクラスも遺体を焼いているのを発見した。やはりそういうことらしい。
廊下で殺しここでみんな遺体を焼くのだ…………。
その中に叶恋の遺体があることは私にはわからなかった。