「おいちょっと待て、家に帰る時間がねぇじゃねーか」
クラスの中心人物である菊池 真也が質問した。確かにこの時間を見ると帰宅するという時間がないのだ。すごくおかしい。しかも起床時間が7時である。こんな教室で寝るのだろうか。
「そうだな、この学校からは出れなくなるな。」
ザワザワと騒ぎ始める教室。私も今初めて知ったことでもちろん親にも言っていない。
「体育館に布団を用意したからそこで寝るといい。親には既に知らせてある。」
そこまでしてやる意味が私にはわからないのだが……。騒がしさはどんどんましていった。
「とにかく名前順でくじを引きに来てくれ。時間がないんだ。くじは他人に見せたらだめだぞ。くじには名前を書いて返してくれ。」
みんなは名前順でくじを引きに行った。
そして、私の番になった。くじを開くとそこには“人狼”と書かれていた。そして私が色々考えるまもなく開始されたのだ。





「そろそろ9時だ。話し合いを始める。市民は20人、占い師は2人、騎士は2人、霊媒師が1人、人狼は5人、狂人は2人、妖狐が1人、背徳者が1人で行う。」


先生は役職人数を前に書き込んだ。





この先生の声によって始まったのだ。人狼ゲームが始まったのだ。恐ろしいゲームが、始まったのだ………。








「話し合いって何をすればいいんだ?」
さっきも質問していた菊池が真っ先に言った。私もわからない。人狼ゲームなんてやったこともない。先生は何も言わない
口出しはできないのだろうか。
「はぁーいはぁい!あたしぃ人狼ゲームやったことあるのぉ〜!」
そう言ったのは女子の中心的なグループの1人外口 美由だ。私はこういうタイプが苦手だ。
「人狼を全員処刑すればいいだけだよぉ〜。くじ引いてすぐに話し合いが始まったからぁ〜初日占いとかわぁないみたいだねぇ。こんだけの人数でするんだからあった方がぁいいと思うけどぉ。占い師とかいるんだったら出てきといた方がいいかもねぇ〜」
えっへんといった感じで腰に手を当てながらのんびりとした口調でそう話した外口。
「とりあえず人狼そうな人を処刑しちゃいましょうよ。」
そう言ったのはその中心グループのリーダーである本野 真夢である。
「人狼そうな人って誰だよ。」
菊池が聞くと「そうね。」と呟きながら顎に手を当て本野は考え始めた。
「あの人…!えーと、宇田くん?だっけ?地味だしあいつでいいんじゃない?」
「まぁ、それでいいんじゃね?誰が人狼とかわかんねぇーんだし占い師かなんか知らねーけど出てこねーし、始まったばっかだし。」
クラスのみんなも何が何だかわからないのは同じなようで誰も反対する人はいなかった。わからないからそれでいいという感じだった。宇田 竜介も地味と言われてショックそうにしていたけどゲームの事がわからないしまぁいいやといった感じだ。
「投稿する人は決まったけど今から投票することはできないの?時間長すぎだよ。」
「仮投票はできるんだが………投票時刻になるまではだめだ。」
しかたがない。きっとそぅ決まっているのだろう。そして先生はこう続けた。
「俺はゲームマスターだ。略してGMなんだが、ゲームを進行する人のことだ。話し合いに関する質問は答えられない。俺に投票するのも無理だからな?あ、教室からは出るなよ?」
「はーい」とみんなが言うと投稿時間までの間それぞれ友達と話し合ったりするのだった。